2011年8月16日火曜日

Microsoftの製品を使用したプライベートクラウド(その四)

今回は、System Center Configuration Managerについてまとめてみたいと思います。
(なんかSystem Center製品の紹介になりつつありますが…。)

【System Center Configuration Managerでできること】
SCCMでできることは大きく以下の4つになるようです。

1. ハードウェア/ソフトウェアの管理
2. OS/ソフトウェアの展開
3. セキュリティ対策
4. 現在の構成のコンプライアンス監査




上記の4つについてそれぞれ簡単にブレイクダウンしてみます。

【1. ハードウェア/ソフトウェアの管理】
SCCMを使用することにより、CPUやメモリなどのハードウェア情報や、インストールされているアプリケーションなどの情報を収集することができます。(イメージ的にはフリーツールのPCViewで収集できるような情報でしょうか。)また、さらに広範な情報が必要な場合には、"資産インテリジェンス"により、収集する情報を拡張することができます。

"ソフトウェアメータリング"って何?
クライアントのPCにインストールされているアプリケーションがわかっても、それが実際に使用されているのかどうかはわかりません。このような場合、"ソフトウェアメータリング"の機能を使用することにより、対象のアプリケーションがいつ実行されたのか?などのより突っ込んだ情報を収集することも可能です。


【2. OS/ソフトウェアの展開】
SCCMでは、クライアントは"提供情報"に記載された情報を元に、"パッケージ"を"配布ポイント"からダウンロードし、"プログラム"を実行することでアプリケーションをインストールすることができます。少人数のエリアオフィスなどではSCCMのサイトを新規に構築することなく、"ブランチ配布ポイント"としてマシンを構成することで、本社と同じようにアプリケーションを配布することができます。


"提供情報"に含まれる情報とは?
"提供情報"にはアプリケーションのインストールに関連する下記のような情報を指定することができます。

(a) クライアントが実際に実行するファイルはどれか?
(b) インストールすることができるターゲットはどれか?
(c) インストールを実行することができるスケジュールは?

また、SCCMではアプリケーションだけでなく、OSについてもクライアントに配布することができます。ただし、WDS(Windows Deployment Services)を使用する場合よりもかなり手順が煩雑です…。流れとしては以下のようになります。

①クライアントに配布するOS環境をある1台のマシンで作成する。
②①で構成したマシンのイメージを作成する。
③イメージファイルを展開するための設定をSCCMで設定する。
④実際にイメージを展開をクライアントに展開する。

*ユーザー状態移行ツール(USMT)を使用すると、それまで使用していたOS上での情報を移行することも可能。


【3. セキュリティ対策】
SCCMを使用すると、他のセキュリティシステムとの連携を取ることができます。

<NAPとの連携>
NAPとは、ユーザーがネットワークに接続する際に、決められた条件に基づいて、接続がOKか、NGかをチェックする機能です。これとSCCMを連携されることにより、この条件にマイクロソフトの更新プログラムに関する項目を組み込むことができるようになります。また、もし満たしていない場合には、SCCMの機能により強制的に適用させることもできます。

<WSUSとの連携>
WSUSとは、組織内のマシンにWindows Updateを適用させる仕組みです。SCCMはWSUSと連携することにより、更新プログラムの確認→クライアントの適用状況の確認→プログラムの適用作業を実施します。実際にプログラムを適用する際の仕組みは上述のアプリケーションの配布と同じです。


【4. 現在の構成のコンプライアンス監査】
企業でクライアントを管理するにあたり、「許可したアプリケーション以外はインストールしてはいけない」などのルールが必ずあります。SCCMではそういったルールのテンプレートを提供し、それを使用して、ルールが守られているかどうかの確認を行うことができます。


SCOMの詳細な情報についてはマイクロソフトの自習書に記載されているのでこちらを見て頂ければと思います。
http://technet.microsoft.com/ja-jp/systemcenter/cm/dd346955.aspx

【プライベートクラウドにおけるSCCM】
SCCMはSCOMやSCVMMに比べると、プライベートクラウドではあまり使われないかなぁ、という印象を持ちました。更新プログラムの管理や、Hyper-Vの役割を有効にしたサーバーの構築に使用するくらいかと思います。(*これからさらに調べてみますので、できたらUpdateします。)

Microsoftの製品を使用したプライベートクラウド(その参)

今回はSystem Center Operations Manager(SCOM)について機能を簡単にまとめたいと思います。

【System Center Operations Managerでできること】
SCOMはズバリ、システムを『監視』するためのアプリケーションです。具体的にどんなものを監視できるのかというと…

1) Windowsサーバー/クライアント
2) UNIX/LINUXマシン
3) SNMPデバイス

といったものになります。

そしてこれらのターゲットに対して、具体的に何を見れるのかというと…

①パフォーマンスデータ
②障害
③セキュリティイベントログ

の3つの情報になります。


【監視のための仕組み】
SCOMが監視をできるようにするためには、おおまかに、

[OpsMgrエージェントのインストール]

[管理パックのインポート]

の2つが必要となります。(*SNMPデバイスについてこの限りではないです…。)



[OpsMgrエージェントのインストール]
SCOMで"こいつのことを監視するぞ"という設定になります。エージェントを入れることにより、SCOMの監視下に入ります。

[管理パックのインポート]
SCOMで情報を収集するための"決まり"が含まれるファイルである管理パックをインストールすることにより、自動的に情報を収集できるようになります。さらに、管理パックはただ単に情報を収集するだけでなく、収集した情報と関連するナレッジや、対策となるタスクなどについての情報も管理者に提供してくれます。






【プライベートクラウドにおけるSCOM】
プライベートクラウドを構成する際にSCOMは主に何を監視するのかというと、『Hyper-V』のシステムです。仮想化された環境のインフラである"Hyper-Vサーバー"と、その上で稼動するたくさんの"VM"をチェックするのです。


<SCOMとSCVMMの連携>
その際に重要になってくるのがSCVMMとの連携です。SCOMでただ単に監視しているだけでは、情報収集はできますが、効果的に仮想マシンを管理するには不十分です。そこで、SCVMMと連携することにより、自動化を実現します。

具体的にはPerformance and Resource Optimization (PRO)の機能を使用します。(*この機能はSCVMM上で有効にします。)

これがどういった機能かというと、SCOMで収集した情報の中にエラーや警告など、何かしらの対応が必要なものが含まれていた場合に、SCVMMにそれを知らせる(このお知らせを"PROヒント"といいます)というものです。PROヒントは通常、ポップアップとして管理者に通知されますが、オプションにより、ジョブを自動で走らせることもできます。

例えばあるHyper-Vサーバーで負荷が著しく高い状態になった場合、SCOMがそれを検知してPROヒントとしてSCVMMに伝え、SCVMMは適切な別のHyper-Vサーバーに自動的に仮想マシンを移動するということもできるようになります。



これにより管理者は特に意識することなく、リソースを継続的に使用できるようになるわけです。
次回は(余裕があったら)他のSystem Center系の製品についてまとめたいと思います。

Microsoftの製品を使用したプライベートクラウド(その弐)

今回はプライベートクラウド構築のキモとなるSystem Center Virtual Machine Managerについて簡単にまとめたいと思います。


【System Center Virtual Machine Managerでできること】
SCVMMでできることの代表的なことはと言うと…

①仮想マシンを簡単に作れる。
②Hyper-Vマシン同士で仮想マシンを簡単に移行/複製できる。
③物理マシンおよび他社製仮想マシンからHyper-Vの仮想マシンへの変換ができる。
④エンドユーザーが操作するためのツールを提供できる。

とかになるでしょうか。


それぞれの機能について以下に簡単にまとめてみます。


【①仮想マシンを簡単に作れる。】
SCVMMには『テンプレート』というものがあります。これは言ってみれば、仮想マシンを作成するための『雛形』ですね。具体的には、

1) 使用する仮想ハードディスクはどれか?
2) CPUやメモリ、またハードディスクやネットワークなどのハードウェアの構成はどうするか?
3) ゲストOS上の管理者パスワードやプロダクトキーなどの構成はどうするか?

の主に3つについて事前に決まりを作っておくことで、それに基づいた仮想マシンを簡単に作れるようにします。


【②Hyper-Vマシン同士で仮想マシンを簡単に移行/複製できる。】
SCVMMが導入されている場合、複数のHyper-Vマシンが存在する状況で、最も適切なマシンに仮想マシンを簡単に移動することができます。☆の数でどのマシンがより適切なのかが表示されます。


【③物理マシンおよび他社製仮想マシンからHyper-Vの仮想マシンへの変換ができる。】
現在、仮想マシンがどんどん一般的なものになってきていますが、SCVMMでは既存の物理サーバーを仮想マシンに変換する機能(P2V)があります。また、VMWareのVMWare ESX Serverを管理することができ、その上で稼動している仮想マシンを(Microsoftの)Hyper-Vの仮想マシンに変換することができます(V2V)。


【④エンドユーザーが操作するためのツールを提供できる。】
SCVMMにはSelf-Service Portalと呼ばれる、エンドユーザーが仮想マシンを管理するためのユーザーインターフェースが用意されています。システム管理者が権限設定を行うことにより、エンドユーザーは特定の仮想マシンに対してアクセスできるようになります。


以上がSCVMMの基本機能になります。

今後、SCVMM 2012が出るようなので(http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1101/05/news03.html)、そちらの新機能についても、随時、時間を見つけてアップデートしたいと思います。


次回はSystem Center Operations Managerについてまとめたいと思います。

2011年8月15日月曜日

Microsoftの製品を使用したプライベートクラウド(その壱)

Microsoft製品を使用したプライベートクラウドについて勉強しています。
いくつかのWebのリソースにより学んだことをこれから何回かに分けて、まとめていきたいと思います。

【クラウドとは何か?】
『クラウドとは何か?』を一言で説明すると、
"ITのリソースをひとまとめにして、それらを共有することにより、必要なところに必要なだけ、自動的に割り当てる仕組み。"
となるでしょうか。

一口にクラウドと言っても大きく次の2つに分かれます。

パブリッククラウド
インターネット経由で利用するクラウドのこと。

プライベートクラウド
自社に構築し、パブリッククラウドと同様にユーザーがどこにリソースがあるかを意識することなく、稼動しているサービスを利用するための仕組みのこと。

【クラウドを構成する要素】
クラウドの考え方、すなわち、上述の
"ITのリソースをひとまとめにして、それらを共有することにより、必要なところに必要なだけ、自動的に割り当てる仕組み。"
を実現するためには以下のような技術が必要になると言われています。
また、カッコ内はそれぞれを実現するためのMicrosoftの製品/技術になります。

①仮想化(Hyper-V)
CPUやメモリやハードディスクなどをまとめて扱うために、物理的に複数にわたるリソースを仮想的に集約する技術

②自動化(System Center製品群)
必要に応じて、リソースの割り当てを増やしたり、減らしたりというのを誰が作業することもなく、自動的に行う技術

③エンドユーザーが自分でいろいろできる仕組み(System Center Virtual Machine ManagerのSelf-Service Portal)
いちいち管理者が介在しなくても、システムを使用するエンドユーザーが自分でサービスを管理/使用するための技術


【Hyper-V】
上記①の仮想化技術を支えるHyper-Vについては、わりと知られた技術かと思います。
すごく簡単にイメージ的に言うと、「Windows Server 2008以降に組み込まれている仮想マシンを操作できる機能」のことですね。
(Server Coreなど、厳密は組み込まれているのとはちょっと違いますが…。)

Windows Server 2008 R2 SP1から、仮想マシンに割り当てるメモリの量を固定ではなく、上限を設定することにより、自動的に適切な分だけ割り当てる機能『ダイナミックメモリ』が実装され、ますますプライベートクラウドに対応した進化を遂げています。

ここではよく作業の時に使うリンクだけ備忘録のために記載しておきます。

①リモートサーバー管理ツール for Windows 7

Hyper-Vで仮想マシンを管理するためのツールです。
Windows Server 2008 R2では役割をインストールすることにより自動的に使用することが可能ですが、Windows 7で使用するためには別途インストールする必要があります。SP1を適用したWindows 7にインストールできないという問題がありましたが、下記のリンクよりダウンロードできるプログラムはそれも修正されているみたいです。
http://www.microsoft.com/download/en/details.aspx?displaylang=en&id=7887

②Hyper-Vクラスターの構成手順

ITプロの方はよくあるケースだと思いますが、Hyper-Vのホスト間でクラスターを組む時の手順としては以下のサイトが非常によくまとまっています。
http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/operation/livemig03/livemig03_01.html

また上記はホストによるクラスターでしたが、SCSIイニシエーター&SCSIターゲットを使用することにより、ストレージがなくても仮想マシンでクラスターを構築することができます。



次回はSCVMMについてまとめてみようと思います。