2015年12月15日火曜日

Office 365 Advanced eDiscovery (Equivio)

Office 365からE5プランが提供されました。Advanced Threat Protection(標的型メールへの対策機能)など、わりとわかりやすい機能もありますが、ちょっとよくわからないものも含まれていますので、少しずつ整理していきたいと思います。

まずはOffice 365 Advanced eDiscoveryについてちょっと調べてみたので、下記に内容をまとめてみます。基本的には下記のブログを参考にしています。

Title: Analyze Office 365 data with Equivio Zoom

※なお、下記にスクリーンショットを引用してコメントを記載していますが、おそらくOffice 365では画面に変更が加わっています。(スクリーンショットは買収前の製品のものになるかと思います。)

【対象となるワークロード】
  • Exchange Online
  • SharePoint Online
  • OneDrive for Business
  • Skype for Business

【これによりできること】
①社内に蓄積された情報(ドキュメントとかメールとか)のレビューに関して、よりスピーディに対応できる
これを実現するために、以下の2つがキーワードとして挙げられています。

"Near-Duplicate Detection"
複数のドキュメントの間にある関係性(≒類似性)の情報を提供する。

"Thread Analysis"
メールがスレッドに含まれるかどうかを分析し、必要な確認できるようにする。
上記により、整理されたデータについては、他のeDiscoveryツールに(上記の情報を含めて)引き渡すことができるようです。


②eDiscovery対応の対象となるデータを絞ることで、管理者の負荷を減らす
ここでのキーワードは "Relevance" となっています。具体的には、管理者が探したい情報に関して、各ドキュメントがどのくらい適正なのか(≒探したい情報に対してどのくらいヒットするものなのか)を分析します。これにより、以下のことが実現できるようになります。
  • 管理者が目的に対して、より適切なデータを集めることができる
  • ピックアップしたデータをレビューする際にプライオリティをつけることができる
※実際にはいくつかのデータについて管理者がRelevanceのレベルを設定してあげることで、機械学習により、トータルデータの分析を行う。
③社内に脈絡なく溜められたデータをカテゴライズし、構造化することができる
ここでのキーワードは "Themes" となっており、簡単に言うと、『関連するドキュメントをグルーピングする』ということになるかと思います。これにより以下が実現できるようになります。
  • グルーピングされた情報について、それらの含む主要なトピックスを判断できる
  • グルーピングされた情報から、より詳細な情報を分析するためにドリルダウンしていける
  • ターゲットのグループに関連性のあるドキュメントを見つけることができる
  • 情報がグルーピングされることで、直感的に必要なデータセットを探せる
 
【考察・思ったこと】
単なるキーワードの検索ではなく、"傾向分析した結果" としてのアウトプットとなるため、精度が高い結果を絞って出せます。これにより、裁判所等に提出する前に精査を行っている人(弁護士が多い?)の業務負荷を下げることができるようになることが予想されます。(もちろんアウトソースしている場合にはコスト削減にもなります。)

単体の製品でも『データを削除/改竄できないようにロックし、抽出する』という基本的な機能は実装されていることが多いです。ただ、最近下記のような状況になっており、これらの機能だけでは実質的に十分ではないと考えられるようになってきています。
  • WWにわたるeDiscovery対応が必要になるケースが増えている。
  • 訴訟によっては対象データが広範囲にわたるため、弁護士などの対応者がかかりきりになる時間が増えてしまっている。これにより『作業コストおよび費用が増大してしまう』『データを提出するまでの時間がかかりすぎてしまう』などの問題が発生している。
  • ・制裁金が経営上の大きなリスクになるため、eDiscovery対応の重要度が増している。
なかなか予算をこちらにガッツリ振り向けるというのは難しいのが実情ですが、コンプライアンスに関する問題もニュースとして幅広く取り上げられるようになってきていますので、考えていかなくてはいけませんね。
eDiscoveryそのものについては下記のサイトに非常によくまとめられています。
Title: e-Discoveryとは何か? 日本企業が備えるべきデータマネジメントの基本と留意点