2016年3月27日日曜日

苦境の中での各企業の戦い方

原料費の高騰や、少子化による市場の縮小を原因に、食品会社での新製品の抑制の動きが出ています。コストを抑えないといけないということで、やむを得ない部分があるとは思いますが、将来的なチャンスの芽を摘んでしまうことにはならないのでしょうか。(やみくもに資金を投入するのはもちろん言語道断ですが…。)

【キユーピー、春の新商品を3分の1に コスト高で事業効率化】http://www.nikkei.com/article/DGXLZO96307310Q6A120C1TI5000/

もしかするといろいろ試した最後の一手なのかもしれませんが、日本の構造的な問題に起因しているので、勝ち残るためには根本的にアプローチを変えていかなければいけない気がします。(売り場で自社の人気商品と棚を取り合うため知名度が上がらない、とかよくわかりません。)一時的な処置かもしれませんが、常に責められるだけの手持ち資金を持っておくというのは重要ですね。

一方で、ネット通販に押され気味の家電量販店の中で、ヤマダ電機の取り組みが私は好きです。自社で安価なスマホを作ってみたり、中古販売を本気でやろうとしたりと、苦しい中でいろんなアイデアを試しているのが伝わってきます。記事にもありましたが、中古販売でヤマダ電機が修理/メンテナンスを行うことでユーザーに与える安心感はかなりのものだと思います。これにより、新品の売り上げはそこそこ食われるとは思いますが、それに負けないだけの "魅力" をメーカー/販売店がつけていかないとそもそも先がないでしょうし…。

【ヤマダ電機、中古家電再販店を3倍に 滋賀に修理工場】http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ12HU2_S6A110C1TI5000/

イオンの挑戦

百貨店もそうですが、イオンやイトーヨーカ堂などの総合スーパーもなかなか厳しい状況に置かれています。総合スーパーはもともといろんなもの(特に衣料品などのある種 "汎用的な" もの)を幅広く売るような業態なわけですが、Amazonなどのインターネット通販の台頭や、ユニクロなど汎用製品に特化した企業に押されて、顧客を取られてしまっています。そこで店舗の改装や統合を中心に改革を行っているわけですが、イオンの取り組みは結構斬新だと思います。

【イオン「脱・総合」へ転換、スーパー350店、5年で改装、地域ごとに専門売り場】
https://messe.nikkei.co.jp/js/news/132640.html

【イオン、朝採れ野菜直送 直営農場から昼店頭に  】http://www.nikkei.com/article/DGXLZO95841550W6A100C1TI5000/

野菜直送は別として、何かに特化した専門店をテナントに揃えるのは、都内のいわゆるオシャレな街の商業ビルでやっていたりします。そういうところって街ぐるみでの開発と絡んでいたりする印象があります。総合スーパーって、多くが都心から離れているところにあると思うので、その中に専門店を集めたとして、どのくらいの効果が出るのかちょっと疑問な気がします。(記事にあった高級万年筆がどのくらい地方でニーズがあるでしょうか。)

各地域に権限を委譲すると記事にあったので、それぞれの特色を考慮した上でのテナントを構成するのでしょうが、どうなっていくのか、とても楽しみです。

日本製家電の厳しい状況

ここ数年、一世を風靡してきた日本の家電が苦境に立たされています。私もひと昔前に世界中でブイブイ言わせていた頃を知りませんが、今、家電を買いに行く時に、特に『日本製だから』ということを考えることはなく、若干、オシャレで先進的な印象のあるダイソンやルンバを購入しています。

【縮む国内家電市場 】
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ25ILW_V20C16A1TI5000/

何が変わったのかについて、私が考えるのは「製品のイメージに関する情報量」です。昔はとにかくスペックと安全/安心が重視されていて、『日本製を買っておけば間違いない。壊れないし、いろいろ機能付いているし。』と思われていた気がします。ただ、現状はiPhoneがこれだけ爆発的に普及していることに代表されるように、買い手はどこか "スタイル" を大切にしている気がします。(iPhoneのユーザビリティはすごいようですが、大部分のユーザーはそこで選択していないのではないでしょうか。)

そうなってくると、以下に製品のイメージをユーザーに植え付けていくのかがより重要になってきて、広告であったり、営業のかけ方であったりしますが、これは各国/エリアで効果的なやり方が変わってきます。最近、特にアジアにおいては韓国製品が席巻しているようですが、ローカルにおける営業のかけ方が日本とは比べ物にならないレベルですごい、というのを何かで目にしたことがあります。そもそも、韓国は国ぐるみで業界を再編して、世界戦略を進めているわけですから、これまでと同じやり方で勝てるわけがありません。

しかも、そんな韓国企業も直近では業績の低下が著しいですが、次の手もなかなかアグレッシブです。(工場つながりで、薬作っちゃうのかよ!って感じです。)

【サムスン、バイオ薬新工場 受託生産 世界首位へ】
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO95405940R21C15A2FFE000/

東芝、シャープを代表に、イノベーションよりも根本的な立て直しのほうに注力しないといけない国内家電メーカーが多いですが、なんとか巻き返してほしいものです。

2015年12月15日火曜日

Office 365 Advanced eDiscovery (Equivio)

Office 365からE5プランが提供されました。Advanced Threat Protection(標的型メールへの対策機能)など、わりとわかりやすい機能もありますが、ちょっとよくわからないものも含まれていますので、少しずつ整理していきたいと思います。

まずはOffice 365 Advanced eDiscoveryについてちょっと調べてみたので、下記に内容をまとめてみます。基本的には下記のブログを参考にしています。

Title: Analyze Office 365 data with Equivio Zoom

※なお、下記にスクリーンショットを引用してコメントを記載していますが、おそらくOffice 365では画面に変更が加わっています。(スクリーンショットは買収前の製品のものになるかと思います。)

【対象となるワークロード】
  • Exchange Online
  • SharePoint Online
  • OneDrive for Business
  • Skype for Business

【これによりできること】
①社内に蓄積された情報(ドキュメントとかメールとか)のレビューに関して、よりスピーディに対応できる
これを実現するために、以下の2つがキーワードとして挙げられています。

"Near-Duplicate Detection"
複数のドキュメントの間にある関係性(≒類似性)の情報を提供する。

"Thread Analysis"
メールがスレッドに含まれるかどうかを分析し、必要な確認できるようにする。
上記により、整理されたデータについては、他のeDiscoveryツールに(上記の情報を含めて)引き渡すことができるようです。


②eDiscovery対応の対象となるデータを絞ることで、管理者の負荷を減らす
ここでのキーワードは "Relevance" となっています。具体的には、管理者が探したい情報に関して、各ドキュメントがどのくらい適正なのか(≒探したい情報に対してどのくらいヒットするものなのか)を分析します。これにより、以下のことが実現できるようになります。
  • 管理者が目的に対して、より適切なデータを集めることができる
  • ピックアップしたデータをレビューする際にプライオリティをつけることができる
※実際にはいくつかのデータについて管理者がRelevanceのレベルを設定してあげることで、機械学習により、トータルデータの分析を行う。
③社内に脈絡なく溜められたデータをカテゴライズし、構造化することができる
ここでのキーワードは "Themes" となっており、簡単に言うと、『関連するドキュメントをグルーピングする』ということになるかと思います。これにより以下が実現できるようになります。
  • グルーピングされた情報について、それらの含む主要なトピックスを判断できる
  • グルーピングされた情報から、より詳細な情報を分析するためにドリルダウンしていける
  • ターゲットのグループに関連性のあるドキュメントを見つけることができる
  • 情報がグルーピングされることで、直感的に必要なデータセットを探せる
 
【考察・思ったこと】
単なるキーワードの検索ではなく、"傾向分析した結果" としてのアウトプットとなるため、精度が高い結果を絞って出せます。これにより、裁判所等に提出する前に精査を行っている人(弁護士が多い?)の業務負荷を下げることができるようになることが予想されます。(もちろんアウトソースしている場合にはコスト削減にもなります。)

単体の製品でも『データを削除/改竄できないようにロックし、抽出する』という基本的な機能は実装されていることが多いです。ただ、最近下記のような状況になっており、これらの機能だけでは実質的に十分ではないと考えられるようになってきています。
  • WWにわたるeDiscovery対応が必要になるケースが増えている。
  • 訴訟によっては対象データが広範囲にわたるため、弁護士などの対応者がかかりきりになる時間が増えてしまっている。これにより『作業コストおよび費用が増大してしまう』『データを提出するまでの時間がかかりすぎてしまう』などの問題が発生している。
  • ・制裁金が経営上の大きなリスクになるため、eDiscovery対応の重要度が増している。
なかなか予算をこちらにガッツリ振り向けるというのは難しいのが実情ですが、コンプライアンスに関する問題もニュースとして幅広く取り上げられるようになってきていますので、考えていかなくてはいけませんね。
eDiscoveryそのものについては下記のサイトに非常によくまとめられています。
Title: e-Discoveryとは何か? 日本企業が備えるべきデータマネジメントの基本と留意点

2015年12月13日日曜日

従業員の生産性向上

野村総研の報告によると、今後10年~20年の間で日本の労働人口の49%の仕事がAI/ロボットに置き換えられるということです。

【労働人口の49%が人工知能やロボットで代替可能に】
http://www.newsalt.jp/science/労働人口の49%が人工知能やロボットで代替可能に

お客様とお話をしていると、「うちの会社の従業員はそんなにパソコンを使いこなせないから新しいシステム/機能はいらない」というような話をよく聞きます。労働力不足に関するニュースはよく報道されていますが、今後、AI/ロボットがその穴を埋めていくことは間違いありません。そんな状況を迎えていくにあたり、やはり今いる従業員(ひと)にしかできない価値のある仕事をするために個人のスキルアップをさせていくような仕組み作りが必要だと思います。

スキルといっても業種/職種によって様々ですが、組織の基盤をしっかりとしたものにする意味でも個々のITスキルを向上させるような取り組みをしていきませんか?

海外企業の買収とITシステム

今後、海外の企業を買収していく代表格として、製薬業界/製紙業界があると思います。

製薬業界
政府が、国内での後発薬普及率を2020年までに80%にすることを目標にしており(現状は約47%)、製薬会社は新薬開発を得意とする海外企業の買収を進めている。

【国内医薬品メーカーの海外進出について】
http://www.pharmacy-investigation.info/medicine/pharmaceutical-industry/overseas.html

製紙業界
国内での需要減の対策として、主に東アジア/東南アジアに対して、現地の企業を買収し、おむつなどの生活用品の販売を拡大している。

【製紙大手に危機感…海外展開に活路 得意分野で各社攻勢】
http://www.sankeibiz.jp/business/news/131008/bsc1310080501000-n1.htm

これまで、日本国内のグローバル企業はそのほとんどがガッチリとITシステムを構築し、カチカチに保守運用してきました。それが日本人の気質に合っていたという部分も大きかったと思います。

ただ、今後は海外の企業/ユーザーも同一の環境に巻き取っていかなくてはなりません。その場合、システムに関する考え方やポリシーでの縛り方に大きな違いがあることも多く、もちろん一定のセキュリティを確保した上での話にはなりますが、"譲れるところ" に対してはある程度の自由度を持たせ、柔軟に対応していくことが大切になります。(全部が全部、これまでの日本のやり方を踏襲していこうとしていたら、お金がいくらあっても足りないだけではなく、システムが事業のスピードを阻害しかねません。)

まだまだクラウドサービス(特にSaaS)に対して、抵抗があるお客様が多いですが、この傾向はどんどん進んでいくことになると思います。

企業の統廃合が進んでいます。

最近、企業の統廃合の話がよくニュースになっていますね。代表的なのはJX/東燃ゼネラルの件でしょうか。

【JXと東燃ゼネ、経営統合後に待ち受ける難題】
http://toyokeizai.net/articles/-/95218

東芝/富士通/VAIOのパソコンの事業の統合の件もニュースになっていましたが、共通するのは内需の縮小ということですね。今までは黙っていても(当然そこにはいろんな努力がありますが)売れていたものが、少子化の進行による人口減少だったり、生活スタイルの変化(エコカーとかそもそも車に乗らなくなった、とか)だったりで、思うように売れなくなっています。

【東芝、富士通、VAIOがPC事業を統合? 各社の思惑と統合のメリットを解説】
http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/pickup/15/1003590/120400044/?rt=nocnt

そのため、できるだけ会社の規模を大きくすることで、調達交渉をしやすくするなどして、自分達が戦いやすいようにするわけですが、トータルで売れる数は足し算で大きくなるものの、いきなり売れまくるようにはならないわけで(時代の流れを考えても、これまでの主要事業が右肩上がりで成長を続ける、というのは難しい気がします)、どんどん新しいことをやっていかなければいけないし、広く海外に出て行かないといけない、ということになります。

事業の方向性はもちろんですが、そもそもの社風もコンサバそうですし(→予想。間違ってたらすいません)、社員の意識/働き方を大きく変えていく必要があると思います。私の会社も今大きく方向性をクラウド事業に持って行こうとしているので、反発も多いし、いろんなハレーションがあります。中には意味不明なことをし出す上の人もいて、『あいつアホだな』と思うことも少なくないですが、個人的には変革についていけない人は去るべきで、そこをいつまでも大切に守ろうとしては組織自体が潰れてしまうと考えているので、率先して新しいことにチャレンジしているつもりですし、システムを提供する側としてお客様にも意識を変えてもらうように取り組んでいます。


えーっと、何の話してんだっけ。
あ、そうそう、会社の形態が統合などにより変わっていく場合、システム統合も必ず話題に出てきますが、クラウドサービスであれば対応が柔軟にできるので、みなさん、採用しましょう、といことです。